「市船soul」作曲者の物語、映画化 本紙記事きっかけ

平井茂雄
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 高校野球のスタンドでおなじみの応援曲をめぐる物語が、映画になる。千葉県船橋市の市立船橋高校吹奏楽部の応援曲「市船soul(いちふなソウル)」。作曲者で、20歳で亡くなった浅野大義(たいぎ)さんの物語は、朝日新聞の記事をきっかけに書籍化され、来夏には「20歳(はたち)のソウル」として全国のスクリーンで上映される。

 大義さんは、高校3年間、同部員として活動し、トロンボーンなどを担当した。2014年3月に卒業後、応援曲「市船soul」を作曲。リズム感があり力強い曲は、同高の応援を代表するチャンステーマとして、高校野球の応援などで演奏されるようになった。

 翌年、がんがみつかる。抗がん剤や手術などで闘いながら夏の全国高校野球選手権千葉大会で母校の応援に駆けつけ、自ら作った曲も演奏した。しかし、17年1月12日に20歳で亡くなった。亡くなる直前、進行する病魔と闘いながら、言葉を残した。

 「俺の心は死んでても俺の音楽は生き続ける」

 告別式では、同部顧問の高橋健一教諭(60)が「大義のために演奏しよう」と呼びかけた。164人の卒業生らが駆けつけ、「市船soul」などを演奏して大義さんを送った。

 この告別式のことを、母の桂子さん(56)が朝日新聞オピニオン面の「声」欄に投稿。同年4月には、社会面の「窓」欄でも取り上げられたことをきっかけに、大義さんと同部をめぐる物語を作家の中井由梨子さんが18年に書籍化。それを原作として中井さんの脚本で今回の映画化となった。

 高橋教諭は「彼は、常に今を一生懸命生きていた。今を大事にすることの大切さを教えてくれた」。桂子さんは「大義は、ごくごく普通の子だった。ただ、好きなことをやっていたら周囲に素敵な仲間が生まれて深い絆ができていた」。映画化については、「部活漬けの3年間は、決して楽しいことばかりではなかった。でも、苦しいことでも続けられる何かを見つけられたのが、吹奏楽部。それを映画でも改めて知ってもらえるのはうれしい」と話す。

 映画「20歳のソウル」は来年初夏に全国公開予定。俳優の神尾楓珠(ふうじゅ)さんが主演し、佐藤浩市さんや尾野真千子さんらが出演する。(平井茂雄)