修学旅行 長崎県内校の人気は県内 コロナ禍で安心求め

三沢敦
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 新型コロナウイルスの「第5波」が全国的に下火となる中、長崎市への修学旅行が回復の兆しをみせている。目を引くのが県内の学校だ。コロナの終息がいまだ見通せない中、大都市圏よりも安心感のある「近場」を選択する傾向もあるようだ。

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 「2年生79名、午前中に一生懸命練習しました。ぜひ見てください」

 11月24日の昼前、中華街近くの新地橋広場で龍踊(じゃおどり)の体験発表会があった。長崎県諫早市立明峰中学校の修学旅行生が覚えたての踊りを披露した。

 生徒たちは、龍踊の体験学習プログラムを提供するイベント会社「ぜっと屋」のスタッフの指導で、朝から踊りや楽器演奏を練習。本番では全長18メートルの青龍と白龍を懸命に操り、中華街を訪れた観光客らから盛んな拍手を浴びた。

 2泊3日の日程で、初日はほかに長崎市内の孔子廟(びょう)やペンギン水族館を訪ねた。2日目以降も雲仙岳災害記念館(島原市)や、火砕流で焼失した旧大野木場小学校(南島原市)、ハウステンボス佐世保市)など県内を巡ったという。

 明峰中が県内を修学旅行先に選んだのは今回が初めてだ。「灯台もと暗し。地元を知るいい機会になれば」と立山敏雄校長。これまでの旅行先は京都や南九州が多かったが、保護者に意見を募ったところ「近場がいい」との声があがったという。

 「龍踊は知っていたけれど踊るのは初めて。覚えるのは難しかったけれど、良い体験になった」と2年生の西村美祐さん。この日の成果を文化祭でも発表するという。

 「ぜっと屋」の河野謙代表(67)によると、修学旅行での体験プログラムの利用はコロナ禍前で年間60校ほど。福岡県の学校などが多く、県内からの利用はなかった。

 ところが、コロナ禍で8カ月停止していた受け入れを10月に再開したところ、申し込みの半数を県内の学校が占めたという。「感染の終息が見通せない中、大都市圏への修学旅行に抵抗があるのでしょうか」と河野さんはいう。

 「データはないものの、肌感覚として長崎への修学旅行生は増えているようだ」と県観光振興課の担当者も話す。

 県内で「近場」の修学旅行を後押ししているのが、9月25日に再開した県の旅行キャンペーン「長崎県民割」(利用期間は12月31日まで)だ。県内を旅行する県民に1人1泊あたり5千円を上限に宿泊料金を補助したり、旅行中に土産物店などで使えるクーポン(1泊あたり2千円)を発行したりする。県内の修学旅行生も対象だ。

 県内の学校が「近場」を選ぶ動きについて、同課の担当者は「修学旅行は事前準備に時間がかかるため、急に行き先を変更しているとは考えにくい。『今年は近場に』と決めていた学校が、コロナの下火と県民割の再開でこの時期に集中しているのでは」とみる。

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 長崎原爆資料館(長崎市)では10月に入ってから修学旅行生が急激に増え、例年の同時期の2割増で推移しているという。担当者は「県内外を問わず全国から修学旅行がこの秋以降増えている」と話す。

 日本修学旅行協会(東京都)の調査では昨年度、高校の訪問先として長崎が1位と、前年の8位から大きく順位を上げた。コロナ禍で全国の多くの学校が修学旅行を控える中でも、平和学習の場がある長崎は底堅さを見せていた。この秋、コロナが一段落したことでさらに加速した形だ。

 「コロナは下火になったとはいえ、先行きはまだ不透明」と担当者。「再拡大する前に、今のうちに済ませておきたいという学校側の『駆け込み需要』が修学旅行の急増につながっているのでは」という。(三沢敦)