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災害時のPCR検査に「助っ人」 クリーンなバスで実験

庄司直樹
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 【茨城】感染症と自然災害が同時に襲う複合災害が起きたとしても、大人数が安心して避難できるように、筑波大が水素燃料電池バスを用いた防災・感染症対策システムの実証実験に取り組んでいる。車内には本格的な感染症検査機器が積まれており、派遣先で大人数の検査が短時間でできるという。

 トヨタ自動車の協力で開発したのは、全長約10・5メートル、幅2・5メートルの大型水素燃料電池バス。

 社会実装を担当するシステム情報系の鈴木健嗣教授によると、水素にする利点は、排気のクリーンさや燃料充塡(じゅうてん)の速さ。ガソリン車のような排ガスが出ないため、人が集まる避難所などのそばで運用しやすい。また、バッテリーの充電に数時間かかる電気自動車に対して、水素燃料電池車なら30分程度で充塡でき、素早く出動できる。静かで振動がほとんどないのも特長で、精密医療機器の稼働に影響を与えないという。

 新型コロナウイルスなどに対応するPCR検査機器を現在は搭載している。研究責任者を務める医学医療系感染症内科学の鈴木広道教授は「唾液(だえき)を採取してから約40分あれば正確な検査結果がでる。1日2千検体以上の検査ができ、世界最高水準のスピードだ」と胸を張る。

 10月に始めた実証実験では、ふだんPCR検査を担当している民間の衛生検査センターや保健所が災害で停電したという想定で、水素燃料電池バスを派遣。電源喪失時でも、代わりに感染症検査ができることを確かめるなどしてきた。実際に配備された際には、避難所に逃げてきた市民や集まったボランティアらを素早く検査して、二次感染リスクを下げる役割を思い描く。

 年明けには小型の水素燃料電池マイクロバスが届く予定で、2台を用いて今年度いっぱいは様々な検証作業を続ける予定だ。(庄司直樹)