ドイツの選手団体、IOCに調査を要求 中国のテニス選手安否問題で

ロンドン=遠田寛生
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 中国共産党の元高官から性被害を受けたと告発した中国出身のプロテニス選手、彭帥(ポンショワイ)さん(35)の安否が懸念されている問題で、ドイツのトップ選手たちが編成する団体「アスリート・ドイツ」は6日、国際オリンピック委員会(IOC)に第三者機関による厳格な調査を要求した。

 2017年に発足し、現役のオリンピアンやパラリンピアンを含むアスリート・ドイツは、IOCが十分に責任を果たしていないと主張する。

 11月21日、12月1日にIOCが発表した彭帥さんとオンラインで話した情報提供についても、信頼性を疑っていた。「彭帥さんが本当に安全なのか、検閲や抑圧されることなく自由に発言できているのか。これだけでは証拠を示せていない」

 今後同じようなケースからアスリートを守るためにも、独立した組織による正式な調査を求めた。かなわない場合は、処分などの判断をIOCは控えるべきだとしている。

 安否問題を受け、当面の大会開催を凍結した世界の女子ツアーを統括する女子テニス協会(WTA)の対応を見習うよう訴えてもいる。「政治的や経済的な配慮よりも、選手の保護を最優先するべきだ」

 9ページにわたる公式声明では、22年2月に開幕する北京冬季オリンピック(五輪)・パラリンピックへの懸念も示した。

 北京大会中、選手の安全や表現の自由、人権が守られるのか心配は尽きないため、中国側の保証を書面でもらうべきだ、などとも指摘していた。

 この問題は11月2日夜の彭帥さんのアカウントとみられるSNSでの告発が発端となっている。投稿した後、消息がつかめなくなりスポーツ界だけでなく国際社会からも心配する声が相次いでいた。

 IOCは2度のオンラインでいずれも彼女の安全を確認したとしているが、騒ぎが収まる気配はない。

 特に彭帥さんと直接連絡が取れていないというWTAは状況を厳しくみている。スティーブ・サイモン最高経営責任者は、IOCの発表を受けてもスタンスを変えていない。「彼女が自由かつ安全で、検閲や強制、脅迫の対象になっていないとはとても信用できない」と声明を出している。

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2018年5月、マドリードの大会に出場した中国出身のプロテニス選手、彭帥(ポンショワイ)さん=ロイター
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11月26日、スイス・ローザンヌにある国際オリンピック委員会(IOC)の本部前で、2022年北京冬季五輪をボイコットするよう抗議する人たち=ロイター
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11月21日、中国出身のプロテニス選手、彭帥(ポンショワイ)さんとオンラインで会話したと発表した国際オリンピック委員会(IOC)。手前は画面に向かって語りかけるトーマス・バッハ会長=ロイター

 一方で、国際テニス連盟(ITF)のデービッド・ハガティ会長は中国での大会開催は続ける意向を表明。中国でのテニス発展を止めたくないとし、「(中国の)10億人を罰することはしたくない」などと話したと英BBCは5日に報じている。(ロンドン=遠田寛生)

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