コロナ禍に思う新たな音楽、第九はどこへ 岡田暁生氏に聞く

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編集委員・中村俊介
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 長引くコロナ禍はクラシック音楽界を直撃し、大きな爪痕を残した。いまは小康状態ながら新たな変異株の出現で、今後も予断を許さない。この逆境を新たな音楽創成への引き金にできないか。音楽学者の岡田暁生・京都大人文科学研究所教授は、このほど小林秀雄賞を受けた近著『音楽の危機』(中公新書)で、そう問いかける。新たな音楽とは? 話を聞いた。

 人がある密閉された空間に集まって発酵した猥雑(わいざつ)な空気が、やがて蒸留されエッセンスになるプロセス――。岡田さんは「文化」という人間の営みを、こう表現した。とすれば名曲とは、さながら芳醇(ほうじゅん)な香りを放つワインの澱(おり)みたいなものか。

 新型コロナウイルスの拡大で、誰もが必要性を信じて疑わなかった音楽に「不要不急」のレッテルが貼られ、コンサートは瞬く間に忌避するべき3密の典型に転落。人々は同じ場で感動を共有する機会を失った。コロナをきっかけにテレワークが根づき始めたように、音楽もメディアの録音を介した、いわゆる「録楽」一辺倒になってしまうのだろうか。

 岡田さんは、生演奏にこだわ…

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