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医療現場で傷ついて… ある看護師の葛藤、現場を変えるヒントは?

有料会員記事

杢田光
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 「嫌な思いをしたから、病院に行くのをためらってしまう」。そんな知人の声に向き合って、看護師の木村映里さん(29)は著書「医療の外れで 看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のこと」(晶文社)を出しました。「医療者の言動に傷ついた」「性的マイノリティーには受診しづらい」という意見は、朝日新聞のアンケートにも寄せられています。看護師として働く木村さん自身も、悔やんでいる過去があるそうです。

不信感を抱いた患者さんは…

 医療現場でのつらい出来事をつづってくださった方々の思いに、どうしたら応えられるだろう、と思いをはせています。「受診で嫌な思いをした」という声を医療現場で耳にする機会は、実はあまり多くありません。不信感を抱いた患者さんは、知らぬ間に医療から遠ざかってしまうから。SNSでは医療不信の訴えを目にするようになりましたが、それが決して一部の声ではないと今回のアンケートで明らかになったのではないでしょうか。

 中でもデリケートゾーンの受診は、恥ずかしさやためらいを抱く場合も多く、「勇気を出して病院に行ったのに」という声を、病院の外で知り合いからよく聞きます。私はバイセクシュアルで、性的マイノリティーの友人も多いのですが、社会から排除されがちで、医療にアクセスしづらい。性風俗で働く友人たちも同じです。そうした現実を、昨年出した本に書きました。

 たとえば医療機関での「異性との性交渉はあったか」という質問に、友人は困っていました。男女のカップルだけが前提だと、性的マイノリティーは「心ない発言をされるかも」と不安を覚えます。病院や職場や親に同性パートナーの存在を伝えられず、臨終に立ち会えなかったカップルもいます。

 また、性風俗で働く知り合いは、「そんな仕事をしているなんて」と産婦人科医に言われ、「二度と行かない」と失望していました。自分の働く医療の分野に、友人たちを傷つける風潮があることが苦しくてやりきれません。

 患者さんと考えが合わないこともあるでしょうが、医療者は差別や軽蔑心を押しつけてはいけません。ジェンダーや性的マイノリティーに関する認識が、医療現場では恐ろしく遅れていると感じます。

医療者と対等になれたなら

 私も数年前、避妊に失敗して緊急避妊薬をもらいにいったら、「なぜアフターピルを知っているんだ」と医師に怒られました。

 さらに妊娠を調べる尿検査を…

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