日本はどうする、米国の外交ボイコット 自民内から同調求める声
バイデン米政権が来年2月からの北京冬季五輪で、政府関係者を派遣しない「外交ボイコット」の実施を表明したことで、日本は米中のはざまで、難しい対応を迫られる。
日中の関係改善か、人権重視か
米側の判断は中国による人権侵害への抗議が目的で、欧州諸国も追随する可能性があるが、日本も同調すれば中国との関係悪化が懸念されるためだ。
岸田文雄首相は7日、首相官邸で、記者団に「オリンピックや我が国の外交にとっての意義などを総合的に勘案し、国益の観点から自ら判断していきたい」と説明。あくまで日本が独自に決める姿勢を強調した。
政府内には、中国との関係悪化を懸念する声がある。首相は10月、中国の習近平(シーチンピン)国家主席との電話協議で、日中国交正常化50周年を来年に控え、「建設的かつ安定的な日中関係をともに構築していかなければならない」と発言。日中関係改善に意欲を見せていた。
ただ、中国が沖縄・尖閣諸島を「自国領土」と主張する中、日本にとって唯一の同盟国である米国の判断が重いのも事実だ。
岸田政権は人権問題担当の首相補佐官ポストを設けるなど「人権重視」の外交を掲げる。中国への配慮は、「二枚舌」との批判も招きかねない。
林芳正外相は7日の会見で、今後の対応について「諸般の事情を総合的に勘案して判断する」と説明。記者団から「諸般の事情」は人権も考慮するのかを問われると、「国際社会における普遍的価値の自由、基本的人権の尊重、法の支配が中国においても保障されることが重要だ。こうした日本の立場は、さまざまなレベルで中国側に直接働きかけている」と強調し、「人権」も踏まえる姿勢をみせた。
外務省も対応に困惑
さらに、自民党内からの突き…
【解説】岸田政権は人権を担当する首相補佐官を任命するなど、人権など普遍的価値観を外交に組み込む姿勢を当初からみせてきました。アメリカや欧州が中国、さらに世界の人権状況の悪化が国際秩序の重要な課題と捉えていることを明確に認識した上での動きであったはず