指揮者・佐渡裕さん、丸谷明夫さんは「いつだってまぶしかった」
山内深紗子
丸ちゃんはいつだってまぶしかった――。ベルリン・フィルをはじめ世界の一流オーケストラを率いてきた指揮者の佐渡裕さん(60)は、吹奏楽の名指揮者として知られ、7日に76歳で亡くなった丸谷明夫さんをこうしのんだ。丸谷さんが指揮する大阪府立淀川工科高校(淀工)に出会ったのは13歳の時。半世紀にわたって2人の交流を深めてきた。
佐渡さんは京都市立四条中学校の吹奏楽部に入ったばかりの頃、淀工と丸ちゃんに出会った。「うまい楽団ってどんなレベルやろ」と吹奏楽コンクールの関西大会に足を運んだ。
そこで淀工が奏でたのは「高度な技術への指標」という難しい課題曲。「ピカイチ。緊張しているのに、めちゃくちゃ楽しそうで目に焼きついた」
佐渡さんは師であるレナード・バーンスタインに見いだされ、国内外で活躍。2005年にオープンした兵庫県立芸術文化センターの芸術監督を引き受けた。開館2カ月前、丸ちゃんが大事にしていた「たそがれコンサート」に同行した。それは、日雇い労働者が多く集まる大阪のあいりん地区(通称釜ケ崎)で催されるものだった。
公園がコンサート会場だった…