シャンシャンの中国返還延期に歓迎と懸念の声 専門家「繁殖近い」

本間ほのみ、小林太一
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 上野動物園東京都台東区)のジャイアントパンダシャンシャン(メス、4歳)を所有権のある中国に返還する時期が、今月末から来年6月末に延期された。都の発表から一夜明けた8日、園周辺では歓迎の声が上がったが、専門家からはシャンシャンの将来への懸念も聞かれた。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3度目の延期となった。都公園緑地部によると、シャンシャンの輸送や体調管理に必要な獣医師などの往来が難しいのが理由で、中国側との調整の上で決まった。

 パンダによる街おこしに取り組む人たちは、延期を好意的に受け止めた。上野観光連盟理事長の二木忠男さん(68)は「上野に5頭のパンダがそろい、にぎやかになる。街も非常に活気づくと思う」。松坂屋上野店の広報担当も「街としてはシャンシャンとまた一緒に盛り上がれる」と声を弾ませた。

 「正直、うれしい」。パンダの大ファンで10年以上、園に通うさいたま市の高氏貴博さん(43)は喜んだ。8日朝も見てきたといい、「いつも通りで、とびきりかわいかった」。一方で、手放しでは喜べない面もあるという。シャンシャンはもうすぐ繁殖期を迎えるとされるが、「良い相手と巡り合う機会は逃さないでほしい」と話した。

 前園長で、日本パンダ保護協会長の土居利光さん(70)も「中国で、遺伝的にも相性的にも合うパートナーを見つけられるのが幸せ。延期は残念だ」と話した。飼育下のジャイアントパンダは全世界に約600頭いるが、ほとんどは中国にいる。シャンシャンの返還には「種の保護・繁殖」という重要な目的もある。

 土居さんによると、個体差はあるが、メスは4~5歳で繁殖できるようになるという。園のパンダは2~3月に発情期を迎えることが多く、今回の延期で、シャンシャンはパートナーが見つからないまま、上野で発情期を迎える可能性があるという。(本間ほのみ、小林太一)