「極右では勝てないのでは?」急浮上のフランス大統領選候補に尋ねた

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シャルビューシャバニュー=疋田多揚
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仏南東部シャルビューシャバニューに貼られていた、エリック・ゼムール氏のポスター(左)=11月5日、疋田多揚撮影
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 「ゼムールのミーティングに行くのかい? 乗ってきなよ」

 振り向くと、濃紺のプジョーが速度を落として私に近づいていた。後部座席から若い男性が身を乗り出し、中へと招いている。

 フランス大統領選に立候補した極右の論客、エリック・ゼムール氏(63)。フランス社会の右傾化と分断を体現し、今最も物議を醸す人物だ。私は彼が現れる集会を目指し、ひとけのないフランス中部の田舎道を歩いていた。

 11月初旬。日は傾き、傍らの畑にはプジョーの長い影が伸びている。中には若者の男女が4人。「いいかな?」と聞くと、喜んで後部座席を詰めてくれた。ゼムール氏が集会を開いたのは、仏中部リヨン郊外のシャルビューシャバニュー。空き店舗が目立つ、人口約9千人の少しさみしい街だ。

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畑に挟まれた、仏南東部シャルビューシャバニューの道。しばらく歩くと、車から若者が声をかけてきた=11月5日、疋田多揚撮影

世論調査でマクロン氏につぐ2~3番手

 ゼムール氏は保守系新聞「フィガロ」などにコラムを書き、テレビではコメンテーターとして出演を重ねてきた。パリ郊外出身で、アルジェリアユダヤ人の家庭に育った。2014年に出版した「フランスの自殺」は、エリート支配、欧州連合(EU)の官僚、同性愛者ロビー活動などによってフランスの国力が弱まったと主張。ベストセラーとなった。テレビ番組での発言が人種や宗教の憎悪をあおったとして、罰金刑を受けたこともある。「イスラム教徒による、フランス人の大いなる(民族的)置き換えが起きている」「フランスは衰退した。フランスはもはやフランスではなくなった」などと公言している。

 反発も強く、遊説先を歩けば、決まって「帰れ!」などと地元住民のブーイングを浴びる。それでいて、来年4月の大統領選の世論調査で、マクロン大統領についで2~3番手につける結果が今秋相次いだ。

 「おれたちトゥーロンから来たんだ。フランスの南端だよ。朝5時に起きて半日かけてやってきたんだ。君もゼムールの支持者かい?」と私に声をかけた若者(28)は話した。

 「実は日本の新聞記者なんだ…

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