「黒い雨」救済、病気を「考慮」へ 国が方針、広島県・市は反発

福冨旅史、比嘉展玖
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 広島への原爆投下後に降った「黒い雨」をめぐり、厚生労働省は8日、黒い雨を浴びた人に被爆者健康手帳を交付する際の新たな審査指針について、特定の病気になったことなどを考慮するとの「基本的考え方」を広島県広島市などに示した。地元は、国の敗訴が確定した広島高裁判決の趣旨と異なるなどとして反発している。

 今年7月の広島高裁判決は「黒い雨に遭った人は被爆者にあたる」とし、病気になったかどうかにかかわらず、原告84人をすべて被爆者と認めた。上告を断念した菅義偉首相(当時)が、原告と「同じような事情」にある人を早急に救済するとの方針を示したことに伴い、国と地元の協議が進められてきた。

 厚労省によると、8日にオンラインで実施された2回目の協議では「基本的考え方」を県と市に伝えた。長崎県長崎市も参加した。

 ①屋内外で黒い雨を直接浴びた②特定の病気にかかった③黒い雨を浴びた後も継続した居住実態がある――が原告84人の共通点だとして、被爆者認定にあたり「考慮に入れて検討する」とした。「特定の病気」については、被爆者が健康管理手当を受ける要件になっている11疾病が対象だとの認識も伝えた。

 厚労省は「新指針案そのものではない」としつつ、この「基本的考え方」をもとに次回以降の協議で、新指針案をまとめていきたいとの考えを示した。

 広島市によると、市側は協議で「病気は認定の要件から切り離すべきだ」「居住実態は(黒い雨に遭ったことと)何の関係もない」と反発した。広島県も、病気に関して「高裁判決が要件にしていないことを要件にするべきではない」と批判し、雨が降ったとされている区域外にいた人でも、雨を浴びたことを示す合理的理由があれば被爆者と認めるよう求めた。

 厚労省は来年3月までに新指針をまとめ、来年4月の運用開始をめざすとしている。(福冨旅史、比嘉展玖)