補助金最少、でもメダル獲得の五輪競技は 決算資料で見えたもの

忠鉢信一、野村周平、塩谷耕吾金島淑華
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 東京オリンピック(五輪)に向け、五輪実施競技の中央競技団体のうち公益法人29団体が国などから受け取った補助金の年平均額は、メダルを獲得した16団体が約2億7710万円で、獲得しなかった13団体の約2億9687万円を2千万円ほど下回っていたことが、朝日新聞の集計でわかった。

 29団体中、金額順で最低だったゴルフのほか、金額順で下から2番目のスポーツクライミング、3番目のアーチェリー、5番目のソフトボールもメダルを獲得するなど、受け取った補助金の規模がメダル獲得の成否を左右する要因になったとは言い切れない結果だった。

 東京五輪開催決定翌年の2014年度から19年度について、五輪実施競技の中央競技団体のうち公益法人の29団体が公開した決算資料を朝日新聞が集計した。29団体全体の平均は約2億8596万円だった。

 個人競技か団体競技か、また五輪出場権獲得のために海外遠征が必要かどうかなど、事情は競技団体ごとに異なるほか、費目の仕分けも団体ごとに異なり、集計は各団体の基準に従った。中央競技団体が一般法人で、公益法人の会計基準を適用する義務がない野球、スケートボード、ボクシング、サーフィンテコンドークレー射撃は対象外とした。

 集計した29団体中、約8億9105万円で最多だった日本サッカー協会は「決算時に公表している受取補助金等について、個々にいただいている補助金などの額は公表しておりません。他団体と比較した際の受取金額の大小の理由は分かりかねますが、国際サッカー連盟や大陸連盟などからの支援の大小が影響しているのではないかと考えられます」としている。このほか、馬術日本中央競馬会、自転車は公営競技のオートレースや競輪を統括するJKAからそれぞれ年間億単位の補助金を受け取っていた。

 中央競技団体が計上している補助金は主にはスポーツ庁の競技力向上事業で、五輪の3年前からは世界大会の実績などに応じて傾斜配分された。同事業は東京五輪に向けて膨らみ、14年度は約49億円だったのが、15年度から従来の事業が一元化され、19年度以降は年間約100億円になった。スポーツ庁競技スポーツ課は「重点支援した競技は東京大会で成績を出したし、補助金で競技団体はより多くの強化ができた」としている。

 競技力向上事業の補助金を受け取るには、競技団体の自己資金が必要で、組織力も審査されることから、「富める団体がますます富む仕組み」と評する声が競技団体にある。競技団体の財務に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院の武藤泰明教授(スポーツ経営学)は「補助金を増やしても競技成績の結果に必ずしもつながらないのは、どう使うかのマネジメントの要因が大きいから。また、財務諸表の様式を統一して情報を公開し、競技団体が互いを参考にできるようにするべきだ」と話している。(忠鉢信一、野村周平、塩谷耕吾金島淑華