樹脂製や金属製が増えても、尺八はやはり竹製 製管師のこだわりとは

宇野彰一
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 合成樹脂や金属から作られるものも増えた尺八だが、竹からの製造にこだわる製管師。それが小林一城(いちじょう)さん(71)だ。

 油を抜いた竹を数年かけて自然乾燥させる。竹の内部に砥(と)の粉を混ぜた漆を塗り、やすりで削っては漆を塗り重ねる。吹きながら音も確かめる。忍耐力と吹奏力が必要で、こうした職人は次第に数が減っているそうだ。

 教諭になろうと関西学院大へ入ったのは、70年安保のさなか。休講ばかりで邦楽クラブに熱中した。初めて買った尺八の修理代が払えず製管師の手伝いをするうち、尺八づくりに没頭。大学を中退した。のちに人間国宝となる尺八演奏家に師事、東京に通い吹奏を学ぶ。33歳のときに大阪府吹田市で独立した。

 1990年代は活況で、年間100本を製造した。最近は中国へ輸出もしていたが、コロナ禍でピタリと止まった。出口は見えないが、やめる気はない。「演奏家の中には、『竹製でないと舞台映えしない』と言う人がまだ多いから」。近頃は、手伝いを兼ねて製管修業に通ってくる長男(44)の上達ぶりが楽しみだ。(宇野彰一)