再任用拒否は「裁量権の逸脱」 君が代不起立訴訟で元教諭が逆転勝訴

河原田慎一
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 君が代の起立斉唱を巡る意向を確認できなかったため、再任用しなかったのは違憲・違法として、大阪府立高校元教諭、梅原聡さん(65)が府に約550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9日、大阪高裁であった。本多久美子裁判長は「再任用しなかった判断は、裁量権の逸脱で違法」として、梅原さんの敗訴とした一審・大阪地裁判決を変更し、約315万円の支払いを府に命じた。

 高裁判決は、卒業式などで君が代の起立斉唱を求める職務命令に従うかどうかの意向確認は、憲法19条が定める「思想良心の自由」には違反せず、再任用するかどうかは府教委の裁量に委ねられると認めた。その上で、梅原さんより重い懲戒処分を受けた人を再任用しているのに、意向確認の回答を拒んだことなどから梅原さんを再任用しなかった府教委の判断は「客観的合理性や社会的相当性を著しく欠く」として、違法と結論づけた。

 判決後、会見した梅原さんは「上から言われたことに従うのが当然という風潮がある中、おかしいと思ったことに声を上げられる社会になってほしい」と語った。府教育庁の橋本正司教育長は「主張が認められず誠に残念。判決内容を精査し、今後の対応を検討する」とするコメントを出した。(河原田慎一)