診療報酬改定 医師看護師向け0.5%前後増で調整 全体はマイナス

滝沢卓、村井隼人
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 来年春の診療報酬改定をめぐり、政府は医師らの人件費などにまわる部分を0・5%前後、引き上げる方向で調整に入った。一方、薬価は1%以上減らす案が議論されており、全体として引き下げるマイナス改定となる見通し。高齢化に伴う医療費の伸びを抑えるねらいだ。

 公的医療保険の対象となる治療や薬は、国が診療報酬として価格を決定する。医師や看護師らの人件費などに影響する価格と、薬の価格とに大きく分けられ、政府は年末にそれぞれの改定率を決めて大枠の予算を確保する。年明けに治療や薬の価格を改定する。

 来年春の診療報酬の改定では、体外受精など不妊治療への保険適用や、岸田文雄首相が掲げる看護職員の賃上げにまわす費用として、0・5%の引き上げが必要となる見込みだ。

 日本医師会などは、コロナ禍で経営が厳しい医療機関も多いとして、0・5%にさらに上乗せするよう要望。これに対し、医療費支出を抑えたい財務省は、不妊治療や賃上げの影響を除いた分はマイナス改定にするべきだとしている。コロナ禍が医療機関に与えた影響をどう評価するかなどをめぐって、今後も激しい議論が続く見込みだ。

 薬価に関しては厚生労働省が今月3日、市場の流通価格は国が定める価格よりも平均約7・6%安いとする調査結果(速報値)を公表。この調査は例年、薬価を引き下げる根拠とされている。薬価の改定率で約1・3%(国費ベースで1500億円程度)を引き下げる案が検討されている。

 これらの案を合わせると、診療報酬全体はマイナス改定となる見込みだ。

 国民医療費は2019年度で44兆3895億円。診療報酬が1%減ると、医療費の増加幅が4438億円分抑えられる計算だ。診療報酬改定は、今後の医療費とその財源となる保険料や公費、患者の自己負担に大きく影響する。滝沢卓、村井隼人)