岸田文雄首相は6日の所信表明演説で、企業に賃上げを促す優遇税制を「大胆に」引き上げる方針を改めて示した。首相が掲げる「分配」政策の目玉の一つで、近くまとまる与党の税制改正大綱に具体策が盛り込まれる。ただ、実際に賃上げする企業が増えるかは不透明だ。
優遇税制は、働き手への給与を一定以上増やした企業について、支払額の一部を法人税額から控除する仕組み。現状は大企業で20%、中小企業で25%が最大の控除率だが、これをそれぞれ30%、40%に拡大する方針だ。中小企業の場合、全雇用者の給与支給額を1・5%以上増やせば税を15%控除、2・5%以上なら30%控除するなど、大企業・中小企業ともに3段階で控除額を増やす仕組みを検討している。
賃上げに対する優遇税制は第2次安倍政権発足直後の2013年、増えない賃金が日本経済の低迷の背景の一つにあるとの認識で設けられた。ただ、その効果は十分に上がっていない。岸田首相は、9月にあった自民党の総裁選の時から「制度を抜本的に強化する」と主張してきた。
「首相案件」として、今年の…