いきもの目線:アフリカの「最強ハンター」 リカオンの高い狩猟能力

竹谷俊之
【いきもの目線】リカオン@よこはま動物園ズーラシア=2021年11月16日、竹谷俊之撮影
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 今回のいきもの目線の主人公は、アフリカの捕食動物「リカオン」。群れで協力しながら狙った獲物をしつこく追い回し、襲いかかるのが特徴だ。狩りの成功率は約7割といわれ、あのチーターやライオンをしのぐ。360度動画カメラを用いて「最強のハンター」を密着撮影した。

 リカオンは、サハラ砂漠、熱帯雨林をのぞくアフリカ大陸のサバンナなどに生息。イヌ科の肉食動物で、体長は約75~115センチ。大きな丸い耳と細い脚が特徴で、毛色は白や黒、黄褐色などのまだら模様で個体ごとに異なる。5キロほどの距離ならば、時速約50キロで走れる。同じ肉食動物のハイエナとよく間違われるが、リカオンの大きさはハイエナの約半分だという。

 今回、撮影に協力してくれたのは、よこはま動物園ズーラシア横浜市旭区)。同園は東京ドーム約10個分の広さがある。現在、日本でリカオンを飼育、展示している2カ所の動物園の一つだ。正門から一番遠い「アフリカのサバンナ」ゾーンにリカオンが11頭いる。ただ、相性があって、一緒に展示場に出すことはできないという。

 飼育員の橋本雅子さんに木製撮影台を手渡し、ペグで打ち込んで設置してもらった。360度カメラを取り付けて、鶏肉を周りに置いて撮影開始。ゲートが開くと、2頭のリカオンが飛び出してきた。あっという間に肉を丸のみし、せわしなく動きまわる。バックヤードからは仲間の甲高い鳴き声の合唱が始まった。数キロ先まで響く「フーコール」と呼ばれるリカオンの鳴き声の一つで、仲間を探したり、呼んだりしているという。

【動画】よこはま動物園ズーラシアの飼育係がリカオンを解説=竹谷俊之撮影

 「リカオンは高度な社会性を持つ興味深い動物です」と橋本さん。「パック」と呼ばれる群れをつくり、複数のオスとメスが協力しあって生活する。狩りは仲間と組織的に行う。持久力があり、狩りの成功率は約7割に達するといわれる。仕留めた獲物は、子どもたちに優先的に与え、弱った仲間たちにも分け与えるという。

 そんな優秀なハンターのリカオンだが、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録されている。ブッシュミート目的の密猟や人間による自然破壊で生息域や獲物が減少したことなどで、家畜を襲い害獣としても駆除されてきた。また、人が飼っている犬からの伝染病で、群れが壊滅するというケースもある。リカオンは獲物を求めて常に移動するため、行動範囲が広く、詳しい生息数はわからないという。(竹谷俊之)