自立援助ホーム 尼崎に開設  「一人一人の子にあった支援を」

中塚久美子
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 【兵庫】親の虐待や育児放棄などの理由で家庭にいられなくなった若者の居場所をつくろうと、尼崎市の一般社団法人「若葉」が来年1月、同市下坂部地区に自立援助ホーム「若葉」を開設する。一軒家を借り、家庭的な雰囲気のなかで悩みを聞くなどして、自立を後押しする。

 利用できるのは15~20歳の女性で、定員6人。一般住宅(5LDK、延べ床面積約131平方メートル)の1階に台所や居間、2階に4個室が並ぶ。食事をともにしながら、学校や仕事へ向かう。6人いるスタッフが当番制で泊まり、24時間体制で生活を支える。

 開設の原点は、同法人代表の川西悦子さん(53)が約20年前の主婦時代、明石市で暮らしていたころに出会った子どもたちの姿だ。知人の子どもが夜、行方が分からなくなり、一緒に捜索を頼まれたのがきっかけで、ボランティアで深夜に子どもらの話を聞く活動をした。

 当時は「出歩く子が悪い」と思い込んでいた。しかし、親からの性暴力や虐待から逃れるために家出していることを知った。素直に甘えられる場所や、気持ちを受け入れてくれる大人が必要だと思うようになったという。その後、児童養護施設や自立援助ホームなどに勤め、経験を重ねて思いを深めてきた。

 自立援助ホームは、児童福祉法に基づく施設。児童相談所を通じて子どもを受け入れる。利用料は食事代など込みで学生は月2万円、社会人は月3万円。

 運営には行政の補助金があるが、開設費は川西さんと副代表の野本亮一さん(65)が自費を投じた。児童養護施設などへの環境改善事業として、国と都道府県などが2分の1ずつ出す補助金があるが、「新たな開設への補助は想定していない」(県児童課)という。尼崎市も、チラシの設置など周知の協力にとどまる。

 川西さんらは居室のエアコンや家具などの購入のため、寄付を募っている。「安心して過ごせる居場所を整え、一人一人にあった支援をしたい」という。

 「全国自立援助ホーム協議会」(東京)によると、協議会に加盟しているホームは全国に214カ所ある。県によると、県内は神戸や明石、伊丹、芦屋の各市に計5施設。

 「若葉」は来年1月20日にオープンする。問い合わせは電話(090・4649・3092)、またはメール(wakaba2021e@gmail.comメールする)。中塚久美子

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