韓国大統領選まで3カ月 与野党両候補にスキャンダル 民意つかめず

ソウル=鈴木拓也
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 韓国大統領選は、来年3月9日の投開票まで3カ月に迫った。文在寅(ムンジェイン)大統領と同じ進歩(革新)系政権の継続か、それとも保守系への政権交代か。2大政党の両候補は前哨戦に突入し、全国行脚を重ねる。だが、ともにスキャンダルがくすぶり、支持の広がりを欠いている。

 進歩系与党「共に民主党」候補の李在明(イジェミョン)前京畿道知事(56)は9日の党内の会合で、厳しい情勢を踏まえてこう訴えた。「共に民主党が国民の期待に応えられていないという現実を認めざるを得ない。深く反省しなければならない」

 李氏は、城南市長時代の不動産開発事業をめぐる不正疑惑がくすぶり、支持が伸び悩む。世論調査機関リアルメーターが8日に発表した調査によると、李氏の支持率は37・1%。最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユンソクヨル)前検事総長(60)に8・2ポイントのリードを許した。

 中道野党「国民の党」の安哲秀(アンチョルス)代表(59)と進歩系野党「正義党」の沈相奵(シムサンジョン)元代表(62)も出馬表明したが、支持率はそれぞれ1桁台にとどまる。

 韓国では不動産高騰や、曺国(チョグク)元法相ら文氏側近の不祥事が続き、若者を中心に政権与党離れが進む。今春のソウル、釜山のダブル市長選で与党は惨敗した。

 「失望していく国民の気持ちを理解し、改善する努力が足りなかった」。李氏は最近、身内であるはずの文政権の批判を繰り返している。無党派層の信頼を取り戻すには謝罪を重ねるしかないと考えるからだ。

 自身の主張も世論の評判が悪ければ、ためらわずに取り消す。コロナ禍の経済対策として、全国民を対象に支援金の一律給付を年明けに実施すべきだと訴えたが、バラマキとの批判を受けてすぐに撤回した。

 ただ、こうした身内批判や「ポピュリスト」ぶりは、与党内で遠心力として働く。李氏は文氏と距離を置く非主流派でもあり、党関係者は「党内は李氏の選挙運動を積極的に支えようというムードに欠ける。静観を決め込む国会議員も少なくない」と話す。

 業を煮やした李氏は党幹部中心の選対の立て直しを目指すが、空回りしている。11月末に外部から航空宇宙専門家の女性教授(39)を登用したが、過去の私生活の問題が取りざたされ、すぐに辞任した。

 一方、尹氏を公認候補に政権奪還を目指す国民の力は6日、党の選挙対策委員会を発足させた。尹氏は発足式で、新型コロナや不動産高騰をめぐる文政権の対応を問題視し、「うんざりするほど腐敗した無能な政権」とこき下ろした。

 選対トップには、4月まで代表にあたる党非常対策委員長を務めたベテランの金鍾仁(キムジョンイン)氏(81)を迎えた。36歳の党代表、李俊錫(イジュンソク)氏が広報戦略の責任者に就き、幅広い年齢層による挙党態勢をアピールする。だが金氏側と、検察出身者など尹氏側近グループとの主導権争いが表面化するなど、一枚岩とは言えない。

 政権交代を望む声が世論調査で半数を超えるなか、尹氏は支持率トップを維持するが、40%台にとどまる。選対関係者は「尹氏では不安と感じる有権者が多いため」と率直に認める。有権者の反感を買う失言や、政治経験の不足が指摘される。韓国政界の重鎮は「政権交代ばかりを唱え、ビジョンや政治哲学に欠ける」と手厳しい。

 尹氏も、検事総長時代に与党政治家の立件を狙って野党議員に告発を促すよう検事に命じた疑惑や、妻が株価操作に関与したとされる疑惑がくすぶる。

 勝敗のカギは、両候補の疑惑をめぐる捜査次第と見る向きもある。検察出身の弁護士は語る。「誰が次の権力者か。検察はまだ見極めず、様子見している」(ソウル=鈴木拓也)