監視委の調査の違法性を認定、初の賠償命令 インサイダー事件で地裁

村上友里
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 自社のインサイダー情報を友人に伝えたとして金融庁から351万円の課徴金納付を命じられたソフトウェア関連会社「SHIFT」(東京都港区、東証1部上場)の元取締役が、処分取り消しと500万円の損害賠償を国に求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であった。清水知恵子裁判長は、禁じられている重要事実の伝達はなかったとして処分を取り消し、証券取引等監視委員会の調査の違法性も認めて120万円の賠償を命じた。

 同庁によると、課徴金納付命令をめぐって監視委の調査の違法性が裁判で認められるのは初めてという。

 判決によると、元取締役は、純利益の下方修正を公表前に友人に伝え、株式売却で損失を回避させたという金融商品取引法違反で処分された。

「調査官、注意義務を尽くさなかった」

 インサイダー取引規制では30%以上の純利益の増減は重要事実にあたるとされ、同庁側は情報伝達の直前の取締役会で30%以上の下方修正が了承されたと主張した。しかし判決は、これは暫定値で、取締役会では新たに計算された30%未満の数値が前提になっていたと認定。情報伝達の時点で「重要事実は発生していない」と判断した。さらに監視委の調査官らは関連資料の十分な確認を怠り、「職務上尽くすべき注意義務を尽くさなかった」とも認め、損害賠償を命じた。

 同庁と監視委は「今後の対応を検討しており、コメントは控える」と答えた。(村上友里)