クリスマスで学ぶSDGs 高校の「リケジョ」が考えた持続可能性

前田伸也
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 クリスマスを題材に、SDGsを学ぼう。カトリック系女子校の福岡雙葉中学・高校(福岡市中央区)の「リケジョ」たちが、「総合的な探究の時間」の課題にこんなテーマを設定した。

 同校は毎年12月にイルミネーションを点灯するが、今年は自宅で使わなくなったツリーや飾りなどを回収し、再利用することに。発案したのは、高校2年の久保山萌さん(17)。「クリスマスツリーを新調した後、まだ利用できるツリーやオーナメントはたくさんあると思った」

 同校では高校生になると、12のゼミから一つを選択する。久保山さんは「リケジョ」(理系女子)ゼミに所属。科学的視点でデータ分析に取り組む。例えば、エコバッグを化学繊維から自然由来の素材にすることでCO2の排出量(フットプリント)をどれだけ抑えられるか計算した。

 その一環でSDGs(国連の持続可能な開発目標)をテーマに研究することになった。久保山さんは17の目標から「つくる責任 つかう責任」(持続可能な生産と消費の形態を確保)を選び、クリスマスイルミネーションの再利用を思い立った。

 長谷川愛眞さん(16)らとグループを作り、校内に回収ボックスを設置。生徒や先生から寄せられたほか、系列の幼稚園からも声がかかった。久保山さんは自宅周辺の家を訪ね歩き、回収の協力を呼びかけた。

 その結果、50センチ角の段ボール3箱分が集まった。久保山さんや長谷川さんらは検品や検電をして安全を確認し、ツリーを飾り付け、植え込みにイルミネーションを施していった。

 リケジョ担当の藤井新次郎先生(39)は「グローバルな課題の解決まではできなくても、身近な課題を見つけて改善する、『シンク・グローバリー、アクト・ローカリー』の考えを実践できている」と解説する。

 久保山さんが「カトリック校の1年に1度の大切な行事で、課題研究にまで取り組ませてもらえた」と達成感を語れば、長谷川さんは「たくさんのオーナメントが集まったことに感謝し、お祝いモードになるように飾り付けができた」と笑みを浮かべた。

 9日夕、イルミネーションが鮮やかに点灯し、聖書の朗読や合唱、吹奏楽によるクリスマスソングの演奏で花を添えた。

 電源にはソーラーパネルを使い、交流電源との消費電力を比較・検証するほか、クリスマスツリーが作られ・使われる際に生じるフットプリントを計算する。研究成果は校外のコンテストに応募する予定だ。(前田伸也)

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    露木志奈
    (環境活動家)
    2021年12月21日17時58分 投稿
    【視点】

    日々、全国の学校で講演をする中で、日本の教育では、「なぜ?」ということを探究する時間があまり取れていないのが現状だと感じますが、久保山さんのように短なことから疑問を持ち、探求していく力こそが、世の中を変えていく一歩だと思っています。ネットで