クーポン給付問題 自治体に現金給付望む声 「国方針分かりづらい」

有料記事

[PR]

 18歳以下の子どもに現金5万円とクーポン5万円分を給付する政府の経済対策について、地方自治体から全額現金給付を望む声が強まっている。岸田文雄首相は全額現金給付を一定程度容認する考えだが、自治体の現場では「国の方針が分かりづらい」など困惑が広がっている。

 九州・山口・沖縄の県庁所在市と北九州市の担当課などに、現時点での給付方法を聞いた。

 長崎市は「未定」と答えたが、担当者は「政府内でも方針が固まっておらず、どう進めていいか困惑している」と話す。

 長崎県は、国の方針通りクーポンを発行する場合、市町をまたぐ広域的な対応が必要になるため、県内21市町に給付方法の意向を確認した。その結果、半数以上が全額現金給付を希望したという。クーポンの印刷や発送、使用できる店の登録など事務作業が煩雑になることへの懸念が主な理由で、県の担当者は「態勢に余裕がない市町は、できるだけ手続きを簡易にしたいと考えているのではないか」と話す。

 五島列島北部に位置する人口2千人超の小値賀(おぢか)町の担当者は「(政府が利用を想定する)入学・新学期向けの商品を扱う対象店舗自体が少なく、現金のみの対応しかできない店も多い。島外で使ってもらうには保護者の負担が大きい」と説明している。

 福岡市は国の制度設計を踏まえて対応を決める予定だが、高島宗一郎市長は7日の記者会見で「もし選択できるのであれば、(全て)現金で振り込んだ方がいい。使う方も配る方も現金が一番使いやすい」と話した。給付対象の子どもは約23万2千人に上り、市の試算によると、クーポンの事務費は7億円と見積もる一方、クーポン分を現金にする場合は10分の1の7千万円以下で済むという。

 宮崎市も未定としつつ、担当者は「現場としては、早くて手間もかからない全額現金給付の方が望ましい」。市民からも「全額現金給付の方がいい」という趣旨のメールが届いている。県内外の自治体から「おたくは、どうしますか」との問い合わせがあるという。「各自治体の判断に委ねると国がはっきり言えば、どの自治体も一斉に全額現金給付へ流れるのではないか」(担当者)。

 山口、佐賀、熊本、大分、鹿児島の各市は国の方針を見極めて判断する立場。ただ、入学・新学期シーズンの来春に向けてクーポン支給を想定する国の方針について、大分市の担当者は「年度末に重なることで、支給対象者の転入・転出が多い。行政も繁忙期になって人員が確保できないといった弊害が考えられる」と気をもんでいる。

 佐賀市の坂井英隆市長は取材…

この記事は有料記事です。残り862文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら