「NFTアート」は今年の美術界のキーワードの一つだ。NFTとは日本語で「非代替性トークン」と呼ばれる電子的な“証明書”で、これを付与されたデジタルのアート表現が、高額で取引されているのだ。一方で、市場の過熱や表現の今後も話題になっている。
今年8月の取扱高は、7月の約10倍の30億ドル(約3300億円)超に――。最大規模のNFTの電子市場に関し、こんな調査結果がある。ゲーム内のコンテンツなどさまざまなものが取引されているが、ここにアート作品も含まれている。
複製可能な電子データに証明書のようなNFTをつけることで、「本物」であることが示され、購入履歴も残る。これによりデジタルアート作品の売買が促進されたとされる。サブカルチャー的存在に見られていたが、今年3月に、競売大手・英クリスティーズのオンラインオークションで米国人作家のコラージュ状の作品が約6900万ドル(約75億円)で落札されたことが、さらに市場に火を付けたという。このほか、数億~三十数億円で売買された作品もある。
7月に開催された、「爆発するNFT市場とアートの行方」と題したトークセッションでも、「今は投機的な興味を持つ人が集まり、以前からのコレクターは少ないのではないか」などとする発言があった。
記事の後半では、過熱する市場を批評するNFTアート作品を紹介します。
NFTの発行を含め、新時代…