米大統領、核協議決裂に「準備を」 イスラエルにも焦り

ワシントン=高野遼、テヘラン=飯島健太
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 イランの核開発をめぐる米国とイランの間接協議が9日、ウィーンで再開した。強硬な態度を貫くイランに対し、バイデン米大統領は協議決裂を見据えて「準備」をするよう米政府内で指示を出した。両国の溝は深く、合意できる可能性は狭まっている。

 両国は、米国が経済制裁を緩和する代わりに、イランが核開発を制限する核合意への復帰を目指してきた。4月に協議を始めたが、8月にイランで反米路線の保守強硬派の政権が誕生。イランが核開発を進める一方で協議は難航し、先週は米側が「(イランの)真剣さが見えない」と協議を打ち切っていた。

 ホワイトハウスのサキ報道官は9日の記者会見で「イランの核開発の進展を踏まえて、外交が失敗して他の選択肢に転じなければいけない事態に備えるよう、大統領はチームに指示を出した」と明言。イランが早期に態度を変えなければ、追加制裁する意向を明らかにした。

 この日の協議では、イランと仲介役の英仏独中ロや欧州連合(EU)の代表者がウィーンのホテルに再び集まり、協議の継続で一致した。

 イランの地元メディアによると、バゲリ外務次官は協議後、「協議には我々の立場に基づき真剣に臨む。協議の継続が決まったことは、すべての参加国が米イランの間の溝を埋めたいことの表れだ」と強調。

 イランは、米国のトランプ前政権が核合意から離脱した2018年5月以降に科したすべての制裁の一斉解除や、合意を二度と破らない保証を要求しており、この日の協議でも対米要求は変えない姿勢を示した。

 ロイター通信によると、EUの欧州対外活動庁のモラ事務次長は「核合意の復活に向けた努力が必要だという新たな認識を感じた」と述べた。一方、協議の進展をめぐって「より緊急を要している」と説明。時間的な余裕は少ないとの認識を示した。

 核協議の難航を受け、イランと敵対するイスラエルも焦りを募らせている。イスラエルのガンツ国防相は9日、米国でオースティン米国防長官と会談し、「軍事的な準備を含め、米国との対話と協力を深めていきたい」と語った。(ワシントン=高野遼、テヘラン=飯島健太