精子「ゼロ」と言われた僧侶 妊娠を夢見ていた妻が夫にかけた言葉
好きな人と結婚をして、子どもをうんで、お母さんになって……。
子どもの名前は何にしようか。
女子高時代、友だちといつも、そんな話で盛り上がった。
だけど結婚をしても、なかなか子どもができなかった。
33歳のころ、平田文子(ひらたあやこ)さん(46)は、インターネットで箱買いをした妊娠検査薬を、1日に何度も試しながら不思議に思っていた。
千葉県長生村に500年余り続くお寺の副住職・平田浩之(ひろゆき)さん(44)と文子さんが出会ったのは2006年ごろのこと。五輪の会場にもなった一宮町の海岸で、趣味のサーフィンを通じて出会った。
地元のサーフショップで働きながら、プロ資格も持っていた文子さんと、三重県からサーフィンをするために移住していた浩之さん。一緒に波に乗りながら、浩之さんの何げない気づかいに、文子さんのまっすぐな性格に、次第にひかれていった。
文子さんの実家はお寺だった。お寺の娘、ということを、浩之さんは何の抵抗もなく受け入れてくれた。「いつでもサーフィンができる」ことも魅力的で、08年に2人は結婚。浩之さんは出家した。
子どもができない……なぜ?
結婚をしたらすぐに子どもを授かるはず、と文子さんは思っていた。ところが、なかなか兆候がない。「おっかしいなぁ」「今月こそは」。妊娠検査薬を、1日に何度も試したが、結果は変わらなかった。
「自分の体に何か原因があるのかもしれない」。文子さんはそう思い、結婚から1年あまりがすぎたころ、不妊治療の専門クリニックを受診することにした。
クリニックには、浩之さんもつきそった。そこで、医師に「せっかくなら旦那さんも」と促され、一緒に検査を受けた。浩之さんは精液をとって検査に出した。
文子さんの診察を終えて、浩之さんの順番をまっていると「ご夫婦で入ってください」と呼ばれた。
そこで医師からおもむろに告…
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