SBIの傘下に入る新生銀 どうなる公的資金の返済 識者の見方は

聞き手・小出大貴、細見るい
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 ネット金融大手のSBIホールディングスが仕掛けた新生銀行への株式公開買い付け(TOB)の結果、新生銀はSBIのもとで経営の立て直しを急ぐことになった。新生銀が抱える公的資金の返済は進むのか。専門家に意見を聞いた。

買収後の成否「カギは新生銀行員」 宇野輝・京大特任教授

 SBIホールディングスが地銀8行と進める「地銀連合」の構想に新生銀行を加えるという考え方には賛成できる。低金利により、預金を集めてお金を貸すという従来の銀行ビジネスが厳しいなか、それ以外の収益源が見つけられていないのが地銀の苦境の本質だ。SBIと新生銀は地銀にない商品を持ち、新たな収益源を生む可能性はある。

 地銀連合の地銀8行の総資産は計12兆円で、10兆円の新生銀が加わる影響は大きい。銀行経営は一定以上の総資産がないと収益が出にくい構造だからだ。

 課題は地銀連合がうまく機能するかだ。カギは新生銀の現場を一番理解している行員にあるとみている。買収され、外部からの役職者も入るなか生え抜きがいかに力を発揮できるか。彼らが地域金融を自らの役割として、SBIや地銀と一致団結して取り組むことを期待したい。(聞き手・小出大貴、細見るい)

「新生銀株価上げられると思うのは甘い」 野間幹晴・一橋大大学院教授

 SBIが公的資金を抱える新生銀行の企業価値を高められるかはSBIの株主だけでなく、納税者にも極めて重要だ。ただ、過去の実績から判断すると、新生銀の株価を上げられるという考えは甘いと感じる。

 SBIは地方銀行8行と資本業務提携をしているが、すべての銀行の株価がその後下がっている。福島銀行の株価は4割超も下げている。これはSBIが思うような相乗効果を出せていないと株式市場が評価しているということだ。いろんなところへの出資自体はいいが、出資先の企業価値を高めてから次の出資へ移るべきではないか。

 新生銀の場合、経営能力があって企業価値を高められる人材を役員として派遣することが必要だ。だが、会長候補としている元金融庁長官の五味広文氏の経営能力は未知数だ。新生銀の企業文化を変えるには10年はかかると思うが、5年ほどでSBIの経営手腕についていったん評価をするべきだろう。(細見るい)