中国における対日感情が大きく悪化しているらしいことが今夏の日中共同世論調査で明らかになった。一衣帯水と呼ばれる両国関係の足元はいま、いかなる状態にあるのか。中国側と協力し、17年間にわたって両国での世論調査を実施してきたNPO法人「言論NPO」の工藤泰志代表に聞いた。
――言論NPOなどの日中共同世論調査で、日本に対する印象がよくないとする中国人の割合が大幅に増え、66%に上りました。
「(小泉純一郎首相の靖国参拝などで)日中関係がとても厳しかった2005年から毎年、この調査をしているが、今回の数字は当時の水準近くに戻るものだ。原因はいくつかあるが、問題だと思うのは、コロナ禍で国民の交流がないなかで、両政府による外交も事実上止まっていたことだ。政府間の関係は信頼を失っている、と両国民は感じたのだと思う」
――確かに菅義偉政権の1年で日中の首脳が言葉を交わしたのは首相就任直後の30分の電話協議だけですね。
「中国が強大化し、米中対立…