米国、17日に石油備蓄の放出手続き 1800万バレル
ニューヨーク=真海喬生
米エネルギー省は10日、石油備蓄のうち1800万バレルを売却する手続きを17日に行うと発表した。日本や中国など消費国と協調して放出する計画の一環。原油価格を引き下げ、ガソリン価格を下げるねらいがある。ただ、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大もあり、すでに原油価格は協調放出の発表時から10%超、下落している。
米国は11月下旬、数カ月で石油備蓄5千万バレルを放出する計画を発表していた。グランホルム・エネルギー長官は10日の声明で、「世界が100年に1度のパンデミック(世界的大流行)から立ち直る中、供給の混乱に対処する重要な手段」と放出の意義を強調した。日本政府も国家備蓄を放出する方針だ。
原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格は、10月下旬に1バレル=85ドル台と約7年ぶりの高値をつけた。米国が協調放出を発表した11月下旬には70ドル台後半で高止まりしていた。だが、その後にオミクロン株の感染が拡大し、需要が低下する懸念から原油価格は下落。10日時点では70ドルほどで推移している。
米エネルギー省は「原油価格は先月から平均10%下落した」とした上で、「政府はエネルギー価格を下げるため、引き続き行動する」などとしている。(ニューヨーク=真海喬生)