「ホットウヰスキー」海軍の味が再び 100年以上前のレシピで再現

大野宏
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 京都府舞鶴市に海軍舞鶴鎮守府が開庁して120年になるのを記念し、舞鶴観光協会と「海軍御用達」だったサントリーが海軍の料理教科書にあったホットウイスキーのレシピを復刻した。「海軍ホットウヰスキー」として市内の飲食店で、味わえる。

 英国に範を求めた旧海軍は、ウイスキーを好んだ。サントリーとの縁も深い。1937(昭和12)年発売の「角瓶」は39年に「大日本帝国海軍指定品」になった。海軍専用に「イカリ印」のウイスキーの特注も受け、同社の社史は「入手が困難となりつつあった原料の大麦の便宜を海軍が図ってくれた」と記す。

 元海上自衛官で海軍料理研究家の高森直史さんは著書「海軍と酒」(潮書房光人新社)で「ウイスキーといえば角」という旧海軍主計士官の言葉を紹介。サントリーの創業者・鳥井信治郎が、南洋に進出していた連合艦隊山本五十六司令長官に、大量の角瓶を慰問品として贈った逸話なども載せている。

 今回の復刻の元になったのは、海上自衛隊第4術科学校(舞鶴市)に原本がある1918(大正7)年発行の「海軍四等主計兵厨業(ちゅうぎょう)教科書」。「ホツト・ブランデー」のレシピ末尾にある、ブランデーの代わりにウイスキーを入れるとホットウイスキーになる、という記載に従った。

 ナツメグひとつまみと角砂糖1個を入れたグラスに、ウイスキー30ミリリットルを注いでかきまぜ、クローブ(丁字)を入れて熱湯を注ぎ、レモンの輪切りを浮かべる。ソムリエの資格を持つサントリー酒類の新屋育也流通営業部部長代理は「戦前のウイスキーは質が低かったので、砂糖やスパイスで臭みを消したのでしょう」と推察。ベースになるウイスキーには、安価な「トリスクラシック」をあえて薦める。

 このほか、同社製のバーボン「ジムビーム」や和製ジン「翠(すい)」をベースにしたホットドリンクも開発。インターネットでレシピを公開している。レシピや、ドリンクが楽しめる店の一覧は、まいづる観光ネット(http://www.maizuru-kanko.net/120/hotwhisky.html別ウインドウで開きます)で。(大野宏)

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