飛騨高山観光、ITCでスマートに 名大生が街づくりに取り組む

山下周平
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 名古屋大学情報学部の学生らが、岐阜県高山市の街づくりにICT(情報通信技術)を生かす取り組みを進めている。人出の情報などを分析して、観光事業者の経営に活用するとともに、旅行者には高山観光をより楽しんでもらおうという試みだ。

 11月下旬、多くの観光客が行き交うJR高山駅構内で、名大生らがカメラがついた電子看板を使った実証実験に臨んだ。観光客がカメラの前に立つと、AI(人工知能)が性別や年代を判断。年代などに応じて12パターンのおすすめ観光スポットやグルメなどを画面上に表示する。

 この仕組みを手がけたのは、情報学部3年の清水貴広さん(22)。観光施設へのアクセスやQRコードなどを1カ月ほどかけて配置した。

 利用者にアンケートをとり、システムの改善点を探った。「目の前で飛驒牛のステーキを焼いてくれる店を知りたい」など、より具体的な情報を求める声もあったという。清水さんは「細かなニーズに応えられる満足度の高いシステムにしていきたい」と話す。

 高山市は昨年、名大、NECソリューションイノベータとICT化をめざす連携協定を締結。高山駅前や観光名所「古い町並(まちなみ)」周辺に人や車の流れを捉えるカメラを設置し、一部はAIが年代や性別を推定できる。現在12台でデータをとり続けていて、カメラの増設も検討している。

 街中に置いたカメラから得られる人出の情報は、名大大学院修士1年の堀涼さん(23)が中心となって分析。7月下旬から8月末までの夏休み期間中は、木曜日と金曜日の人出が土日と同じくらい多いことなどが分かった。観光事業者からは「仕入れやスタッフの配置などに1、2週間先の人出の予測があると便利」との声があり、研究を続けるという。

 情報学部3年の伊藤慶司さん(21)は、カメラ設置場所の混雑度を5段階で表示する観光客向けのアプリを開発した。カメラの増設やデータの蓄積により正確な混雑度予測も可能になるという。伊藤さんは「プログラムを一からつくれるので、おもしろい」と話す。

 市行政経営課の山田雅彦係長は「学生たちは専門的な知識をもっていて、取り組みも熱心。より良い街づくりに引き続き力を貸してほしい」と期待を寄せる。学生たちは分析や開発を続け、実用性の高いアプリへのバージョンアップを進めるという。(山下周平)