何者かになる「胚」をつくる 東影智裕、不可逆な時間をとどめる彫刻

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田中ゑれ奈
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 彫刻が閉じ込めた時間は、巻き戻ることなく流れていく。動物の頭部を精巧に作り上げた瞑想(めいそう)的な作品で知られる美術家・東影智裕(1978年生まれ)。大阪市城東区のギャラリーノマルで、海外生活を経て新たに展開した新作を展示している。

 耳のないウサギだろうか。動物の頭を思わせる、繊細な毛並みと片方しかない目。顔の右面と下半分はほとんど崩れ、土くれのようなモルタルの塊が露出している。「胚(はい)」というタイトルを付けた新作のテーマは「これから何かが生まれ、変化していく状態」なのだという。

 これまでの頭部の作品は、ウサギや牛など特定の種をイメージしやすいものが中心だった。けがや皮膚病で毛が抜けた地肌や潰れた片目など時の流れを想起させ、生と死のはざまをたゆたうような表現を多く手がけてきた。

 変化のきっかけは、五島記念…

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