M-1ファイナリストに聞く 快進撃の異端児ランジャタイ「感無量」
昨年の敗者復活戦で最下位に沈み、「国民最低~!」と叫んだあの日から1年。お笑い界の異端児コンビ「ランジャタイ」が、ついにM-1グランプリ決勝の舞台に立つ。快進撃を続ける2人がファイナリストとして思うことは――。
ランジャタイ
伊藤幸司(36)=鳥取県出身=と国崎和也(34)=富山県出身=が、2007年に結成。グレープカンパニー所属。激しく動き回りながら独創的な一人芝居を展開する国崎に対し、伊藤が冷静にツッコミを入れていく独特の芸風が持ち味。今年のM-1でファイナリストに選ばれると、コンビ名がツイッターのトレンド1位になるなど、大きな話題を呼んだ。
――今年の準決勝では会場が揺れるほどの爆笑を何度も呼び込み、ついに決勝の切符を手にしました。
伊藤 昨年の敗者復活戦では最下位に沈み、今年は決勝に行くための1年だと思ってやってきました。思いが届いて感無量です。
国崎 最下位になって「国民最低~!」と叫んだことが話題を呼んだりして、今年は劇的にお仕事が増えました。結果的に全てがストーリーのようにつながったと思います。
電信柱と会話したバイト時代
――ネタの予測不可能な展開と独創的な世界観は今年も健在です。
国崎 M-1では例年、準決勝あたりからお客さんの反応が険しくなるんですが、今年は「誤解」が解けたのかな(笑)。僕らのスタイルは変わっていないけど、とてもウェルカムな雰囲気で笑っていただきました。
伊藤 本当にあたたかい会場でしたね。他の組のネタも大爆笑でしたし、会場の一体感がうれしかったです。
――自由奔放でナンセンスな芸風は、これまでも「天才」などと称されてきました。ネタはどうやって作っているんですか。
国崎 思いついた話や動きを自分で動画に撮って、見返して面白かったら、相方がリアクションを付けていきます。かつてガソリンスタンドで働いていた時に、あまりにもお客さんが来ないので、でたらめな即興芝居をして一人でふざけていたんです。たとえば、近くの電信柱に話しかけると「道の向かいの電信柱のことが好き。でも恥ずかしくて伝えられない」と言う。だったら僕が代わりに伝えてあげるよと、道路を渡って……。今思えば本当におかしな話ですが、こんなことをずっと続けていた結果、今の基礎ができあがったような気もします。
――そもそも2人はなぜコンビを結成することになったんですか?
国崎 僕らはもともと吉本興業のお笑い養成所の同期だったんです。相方が当時めちゃくちゃにとんがっていて、初日にみんなの肩をたたいて「おまえは面白いか」と聞いて回るんですよ。ほとんどは無視です。
伊藤 それに対して、唯一「面白いよ」と返してきたのが彼で、それを機に仲良くなりました。
国崎 ただあまりにとんがっているから周りとうまくいかず、ほどなくして伊藤は退所することに。僕も出席日数が足りないなどの理由で、後を追う形で辞めてしまいました。そこからライブに出るために、コンビを組もうという話になったんです。
伊藤 コンビ名は、織田信長ら天下人が欲したという香木・蘭奢待(らんじゃたい)から。「天下を取る」という願いを込めました。でも当初は恥ずかしくて、相方にも「ぱっと思い浮かんだ言葉を付けただけ」と話していました。
決勝で「全て台無し」に?
――いくつかの事務所を転々としながら過ごした日々の、「地獄エピソード」が実に魅力的です。
国崎 舞台にあまり立てない…