田中前理事長の背任関与を否定 日大、調査の中間報告書を公表

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 日本大学板橋病院の建て替え工事をめぐる背任事件について、日大は13日、弁護士らの調査に基づく中間報告書を公表した。設計業者から2億2千万円のリベートが支払われる仕組みは元理事・井ノ口忠男被告(64)=背任罪で起訴=しか知らなかったとし、前理事長の田中英寿容疑者(75)=所得税法違反容疑で逮捕=の関与も否定した。

 板橋病院をめぐる背任事件では、井ノ口被告と医療法人「錦秀会(きんしゅうかい)」前理事長・籔本雅巳被告(61)が①建て替えに伴う設計業者選定②医療機器の調達の2事件で逮捕・起訴された。今回の報告書は①に関するもので、②と田中前理事長の脱税事件は含まれていない。

 ①では、設計・監理業務を請け負った都内の設計事務所から2020年8月、籔本被告の実体のないペーパー会社に2億2千万円の日大資金が流出したとされる。報告書は、日大子会社「日本大学事業部」の取締役として業者選定を担った井ノ口被告が、同事務所が審査に通るように評価点の改ざんを指示するなどした不正を認定。他の日大関係者は知らないところで、同事務所の役員に「この会社(籔本被告の会社)は事業部と一体だ」と伝えてリベートを支払わせたとした。

設計業者「無視したら契約できなるかも」とリベート

 同事務所の役員は調査に対し、「事業部を無視したら契約できなくなってしまうかもしれない。利益を削ってリベートを払っても人件費の圧縮で回収できると考えた」と答えたという。

 報告書は田中前理事長について「改ざんやリベートの支払いなどについて、いずれも知らなかった」と認定し、業者選定について「直接的な義務違反は認められない」と結論づけた。一方、2億2千万円が前理事長に還流したかは、脱税事件が捜査中であることを理由に「現時点では調査結果の公表を控える」とした。

 報告書は井ノ口被告が取り仕切った事業部について、「取り巻きの業者」が業務に関与するようになり、「管理部門からの牽制(けんせい)がほとんど利かない状態だった」と指摘した。