第2回「ここで生きたい」ポーランド兵に訴えたが…娘の前で水浴びせられ
欧州への移民や難民として受け入れてもらえることを夢見て、中東からベラルーシにやってきた大勢の人たち。ポーランド国境の大型物流センターを改造した「避難所」では、足止めを食らった数千人の人々が避難生活を送っていた。
私が物流センターを訪れた日は、比較的穏やかな日和だった。搬入口前の駐車場を広場代わりにして人々が外の空気を吸っていた。簡易トイレが並び、タンクの水で食器を洗える水飲み場もある。
昼過ぎ、食事の配給が始まると、その広場が順番を待つ子供たちであっという間に埋まった。
避難所に子供たちの姿が多いのには理由がある。地中海やエーゲ海を密航し、危険を伴ったこれまでの移民・難民の移動ルートと異なり、今回ベラルーシ入りした人々は、ほとんどが正式なビザを取得し、空路で入国していた。出発地からベラルーシまでの道のりはすべて合法的に移動でき、私が話をした人は多くがベラルーシに到着後、ポーランドとの国境に達するまでホテルに滞在していた。
家族を連れて欧州で難民認定を受け、新たな人生へ歩み出したいと考える人々にとって、これほど「安全な道のり」は以前は考えられなかった。
一方で、彼らがベラルーシ当局発行のビザを持つことが、欧州連合(EU)やポーランドが「欧州に混乱を引き起こす目的で移民らを送り込んでいる」とルカシェンコ政権を批判する大きな根拠の一つになっている。
当初は、多くの人がポーランド側の警備の隙を突いて国境を越えたが、ポーランド政府が国境地帯に大量の軍部隊を送り込むなどしてより激しい対抗手段をとった結果、ここから前に進むことができなくなった。
西アフリカのガーナから来たラフィル・レコマさん(27)は、母国で旅行業者に航空運賃込みで4千ドル(約45万円)もの料金を払った。
2021年の夏以降、ベラルーシからポーランドへと越境する移民や難民が急増しました。緊迫する国境で何が起きていたのか。現地からの報告と翻弄(ほんろう)された人々の証言を伝えます。
トルコのイスタンブールでベ…
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- 【視点】
現在、ベラルーシに滞留している中東の人たちは、正規にベラルーシのビザを取って入国しています。この人たちの意思はポーランドを経由して西側に渉ることです。人道的観点からポーランドとベラルーシは実務的な協議を行うべきです。そして、本国に送還して
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