戦場に消えた画家、墓石に刻まれた経歴 「遺骨」は真っ白な砂の粒

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中村尚徳
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声なき遺言 画学生と戦争:4

日米開戦から12月8日で80年になった。戦地に消えた画学生・伊澤洋が残した作品から、戦争の時代と今をみつめる。

 伊澤洋の兄・民介さんは画家の野見山暁治さんの膝(ひざ)の前に、棚から出してきた丸い包みを置いた。何重にも包んだ紙を一枚一枚開いていった。

 きめ細かい真っ白な粒が出てきた。激戦地・東部ニューギニアの砂だ、という。

 東京美術学校で伊澤と同じ時代を過ごした野見山さんは、戦地から帰ることができなかった同級生らの遺族を回っていた。1976年12月。NHKの番組をきっかけにした企画だった。

 民介さんは説明した。

 伊澤が絶命した場所から所属…

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