「なぜ戦うのか」口にした壮行会 100歳の画家が語る出征前夜

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中村尚徳
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日米開戦から12月8日で80年になった。戦地に消えた画学生・伊澤洋が残した作品から、戦争の時代と今をみつめる。

(連載)声なき遺言 画学生と戦争:3

 1943年10月31日、陸軍入隊の前夜だった。100歳の画家、野見山暁治さんは自身の壮行会の記憶をたぐり寄せた。

 せめて最後の夜ぐらいは一人にしてもらいたい。そう断ると、壮行会をしない出征なんてあり得ない、と父親に諭された。

 親戚や知人、近所の人たちが集まった。ささやかな料理と酒が用意された。家族が遠くの農家まで出かけて調達した。

「なぜ戦うのか。間違っている。征くのは嫌だ」

 国のために戦え。命を捧げろ。少なくとも5人は殺せ――。飛び交う勇ましい言葉を黙って聞いた。みなさんにあいさつを、と求められた。言葉に窮していると、ふと詩の一節が頭に浮かんだ。堰(せき)を切ったように言葉が出てきた。

 「我はドイツに生まれたる世…

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