EV化加速を迫られたトヨタ 市場拡大、慎重派イメージ転換狙い

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近藤郷平、福田直之、三浦惇平
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 トヨタ自動車電気自動車(EV)の2030年の世界販売目標を350万台に引き上げた。これまで、「脱炭素」の切り札としてEV一辺倒に偏りがちな政策の潮流と距離を置いてきた。それが、積極的な普及をアピールする方向に転じた。本格的なEV競争に入る。

 東京・お台場のショールームにはスポーツ用多目的車やスポーツカーなど、トヨタが今後投入するEVの開発車両が16車種並んだ。

 豊田章男社長は車両を披露しながら「私たちは長い年月をかけて、様々な領域で取り組みを進めてきた」と強調。「EVならではの個性的で美しいスタイリング、走る楽しさのある暮らしを届けたい」と力を込めた。

 トヨタは30年までに30車種のEVを販売する方針も明らかにした。

 トヨタは今回、EVへの積極姿勢をアピールしたが、これまではEVの急速な普及に慎重な見方を示してきた。

 政府が昨年10月、50年までの脱炭素を宣言し、今年1月には35年までに乗用車の新車販売で純粋なガソリン車をゼロにする目標を掲げた。トヨタにとって、早期のEV化を強く迫るものと映り、警戒心を抱かせた。

 トヨタが描く脱炭素時代の戦略は、水素エンジンの開発も進め、EVやハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド(PHV)、燃料電池車(FCV)と「全方位」でエコカーをとりそろえ、国や地域の事情に応じて柔軟に車種を投入する考え方だ。

 5月には、30年の世界販売1千万台のうち800万台を、車載電池の電気エネルギーを動力に使う「電動車」にする目標を公表。

 電動車800万台のうち、EVは、水素を使う燃料電池車(FCV)を含めて200万台。HVが電動車の主力で、PHVとあわせて600万台とした。これらの数字は、世界の実情にあわせて緻密(ちみつ)に積み上げた目標だ。

 そして豊田社長みずから記者会見の場などで、「敵は炭素で、内燃機関(エンジン)ではない。技術の選択肢を狭めないでほしい」などと、EVに偏りがちな政策の潮流をたびたび牽制(けんせい)してきた。

 会長を務める日本自動車工業会の記者会見でも今年9月、「一部の政治家からは、すべてEVにすればよいんだとか、製造業は時代遅れだという声を聞くことがあるが、違うと思う」と批判した。

 実際、EVは脱炭素の「切り札」と言い切れない。

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