「別フレ」買えなかった女の子へ 閉店する本屋の意地、導かれた結末

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若松真平
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 2017年10月、「那須ブックセンター」は本屋の空白地域だった那須高原にオープンした。

 書店が減り続けるなか、時代に逆行して「町の本屋さん」として開いた店だ。

 そんな店を毎月13日に訪れる、小学生の女の子がいる。

 レジに持ってくるのは、講談社の少女向け漫画誌「別冊フレンド」。

 2年ほど前から、発売日に来ては買ってくれる。

 初めのうちは目も合わせてくれず、書店で本を買うことに慣れていないように見えた。

 「こんにちは」「どの連載が面白いの?」

 店長の谷邦弘さん(64)が声をかけるうちに、次第に話をしてくれるようになった。

「東リベ」とのコラボで

 そんな女の子が、12月は発売日より前に書店を訪ねてきた。

 「今月も入ってきますか?」

 最新号は、漫画「東京卍リベンジャーズ」の付録つきだ。

 少年向け漫画誌の人気作とのコラボ企画とあって発売前から話題に。

 女の子は定期購読をしているわけでなく、書店に並んだ本を毎月買っている。

 人気になりそうだと聞いて、心配になったようだ。

 彼女の不安は的中していた。

 すでに取次会社から「入荷ゼロ」と案内が来ていたのだ。

 「おじさん頑張るから。何と…

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2021年12月15日10時31分 投稿
    【視点】

    >「こんなことを言ったら次から配本を減らされるかも」という不安から、言えない書店員も多いようだ。 日大の不祥事や国による統計データの書き換えなど、最近組織を巻き込んだ事件が誌面を賑わせています。 その度にガバナンスの仕組みを整え