「首切りではない」45歳定年制、提唱の真意 しがみつくのは誰か

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伊藤弘毅
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 日本経済を再び成長させるため、定年を45歳に引き下げてはどうか――。サントリーホールディングス新浪剛史社長が9月に発した提言に、いまだ賛否の声がやみません。近い将来に「45歳定年制」が実現すると思っている人はほとんどいませんが、これほど関心を集めたのはなぜでしょうか。伊藤弘毅

 新浪氏は経済同友会の「夏季セミナー」でスピーチ。日本企業が生産性を高めるために「新陳代謝と、成長する産業に人材移動を果たす」ことが必要だとして、45歳定年制を提唱した。発言が報じられると、ネット上で「コストを削りたいだけに見える」といった反応が相次いだ。

 コロナの影響で職を失った人の割合は欧米と比べれば極めて低い。ただ、仕事が減った航空・旅行業界では大企業でも従業員を「在籍出向」させるなど、働き手の不安はくすぶる。働き方評論家の常見陽平・千葉商科大准教授は「経営者が新たなリストラ策を言い出した、と捉えられたのでは」とみる。

記事後半では、会見で「真意」を問われた新浪氏の説明を紹介し、経済界の発言から透けてみえる本音を専門家が分析します。「すでに現実はもっとシビア」と語る働き手の声もたっぷりお伝えします。

 発言の翌日、記者が会見で新…

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    澤路毅彦
    (朝日新聞編集委員=労働)
    2021年12月17日16時23分 投稿

    【視点】 「ああ、またか」。最初の報道を知ったときの感想です。かつて旧民主党政権下で提案された「40歳定年」を思い出したからです。当時、厚生労働省の記者クラブにいました。  定年は、年齢だけを理由にした雇用終了、つまり「解雇」です。「定年」という

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    江渕崇
    (朝日新聞経済部次長=日米欧の経済)
    2021年12月17日14時12分 投稿

    【視点】こちらの記事を監修しました。私自身45歳で、新浪氏の発言が伝わった際、「今定年になったらどうすればいいのだろう」と自分事として考えました。 この問題を考える際に重要なのが、記事でも指摘されている「教育制度も含めた社会全体が日本型雇用を