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自宅療養「まさに地獄絵図」、訪問診療医の直言 根性論では救えぬ命

有料会員記事新型コロナウイルス

聞き手・関口佳代子
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 病床が逼迫(ひっぱく)した新型コロナの第5波では、ピーク時に自宅療養者が全国で13万人に上り、命を落とす人が相次いだ。自宅療養の現場で何が起きていたのか。新たな変異株の脅威が迫る中、第6波に向けて何を教訓とすべきか。東京都内で約210人の自宅療養者を診察した「ひなた在宅クリニック山王」の田代和馬院長に聞いた。

 ――コロナ患者はそもそも自宅で療養できるものなのでしょうか。

 「『自宅療養』への最初のイメージは、入院する必要のない人を自宅で治療すると、文字通りそういう意味だと思っていました。確かに患者全員の入院は、感染が爆発した状態では非現実的で、我々が家でできる治療をする必要が出てくるとは思っていました」

 「だけど、現実は違った。第5波では、本来入院すべき人の多くが入院できず、『医療崩壊』としか言いようのない状態に陥りました。自宅療養ではなくて、言ってしまえば自宅待機でしたし、待機できているのかもわからない。『自宅放置』されていたのが現実です。自分は絶対になりたくない、とさえ思わされました」

 ――8月にツイッターで「コロナ療養のリアルを伝えることが、陽性者数を抑制することにつながって欲しい」と発信しました。

 「手当ての優先順位をつけなければならないトリアージを迫られるという意味では、災害現場の救急医療と一緒でした。ですが、それは平和な日常の屋根の下で起きていたのです。実情を知ってもらわなければいけないと考えました。僕も現場を見ていなければ『ふーん』で終わったかもしれません」

しんどさで動けなくなった患者、入院を断られ続けて亡くなった糖尿病の患者……。田代さんは第5波をめぐる状況を「患者が自宅の中で医療から断絶させられた」「近代国家の敗北だ」と指摘します。今後の感染拡大に備え、「幽霊病床」の検証の必要性も強調しました。

 ――実際に見た現場は。

 「初診時に半数の107人が…

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