こわい気持ちと生きていこう 絵本作家・新井洋行さんの向き合い方
注射や暗闇、おばけや鬼。子どもがこわがるものと言えばいろいろあります。「こわい!」と言われた時、親はどう接しているでしょうか。絵本作家の新井洋行さんは、今年出版した絵本で「こわい」と向き合うヒントを伝えています。そこから見えてくる、今を生きる子どもたち、そして大人に必要なこととは――? 新井さんと、絵本の担当編集者の沖本敦子さんに聞きました。
新井洋行 絵本作家・デザイナー。2人の娘の父。代表作に『れいぞうこ』、『いろいろ ばあ』、『おやすみなさい』、『しろとくろ』など。
――絵本「かいじゅうたちはこうやってピンチをのりきった」では、なぜ「こわい」という気持ちをテーマにしたのでしょうか?
新井 絵本という形ですが、子どもに向けて書いたつもりはないんです。
恐怖は子どもも大人も、生き物すべてが抱えているものです。僕もとてもこわがりで、不安や緊張を感じながら生きています。こわいものがあるのは自分だけではなく、あるのがあたりまえだと知ってもらいたいです。
こわがることに対して「弱い」「恥ずかしい」と思うのではなく、うまく付き合っていく方法を伝えられたらと思いました。
――「こわい」は危険から身を守る感情でもあるんですね。無理に抑え込まなくてよいということでしょうか。
沖本 少し前までは「がんばって恐怖を克服しよう」という考え方が、主流だったように思います。
でも今はコロナ禍で、それで…