「この子は代わりじゃない」 罪悪感を消してくれた、フクとの出会い
2019年12月、「リーフ」が18歳11カ月でこの世を去った。
漫画家のアキサワリョウタさんが、小学生の時に迎え入れた柴犬だ。
最後の1年半は介護生活で、「その時」のために心の準備をしていた。
小学館の漫画誌で「怖面先生のおしながき」を連載中だったが、リーフのためにできることはなんでもやった。
本やネットで情報を調べ、とにかく後悔のないように日々を過ごす。
そのかいもあってか、送り出した時は「いってらっしゃい、ありがとう」と思うことができた。
ところが4カ月後、突然涙がこぼれるようになった。
病院で診てもらうと「ペットロスによる抑うつ状態」と診断され、1カ月間療養することに。
連載についても休止することになった。
しばらくして、父からこんな提案があった。
「嫌だったらいいんだよ、無理にとは言わない。新しい子を迎える気はない?」
そんなことは考えたことがなかったので、驚いてしまった。
リーフがいなくなって、父も母も寂しいそうだ。
ペットロスを乗り越えるには新しい家族を迎えるのがいい、と聞いたことがある。
でも「リーフの代わりになんてならないよ」と思った。
「最初は可愛がってたけど……」
数日後、母からLINEで「この子どう?」とメッセージが届いた。
写真には、マルチーズとトイプードルを両親に持つミックス犬・マルプーが写っている。
ピントがボケていたが、毛が伸びていて、まるで毛玉のようなシルエットだった。
飼い犬だけれど「いいご縁があればそちらで」ということで、会ってみることにした。
引き取ることがその子にとって本当に幸せなのか。
そんな思いで扉を開けると、写真で見た犬が飛びついてきた。
爪が伸びきっていて少し痛かったが、なでるとうれしそうに尻尾を振ってくれた。
毛もボサボサで少し臭ったが、素直に「可愛い」と感じた。
こんなに可愛いのに、どうして新しい飼い主を探しているんだろう。
そう思って尋ねると、思いも寄らぬ言葉が返ってきた。
「最初は可愛がってたけど…
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