小沢氏、90年のマンデラ氏来日で外務省に苦言 資金援助困難に不満

編集委員・藤田直央
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 衆院議員歴52年、今も政界で存在感を示す小沢一郎氏が31年前、自民党幹事長当時に外務省に苦言を呈したメモが、22日に公開された外交文書の中にあった。来日した南アフリカの黒人解放運動指導者、マンデラ氏が「残念」と述べた政府の対応についてだった。

 南アで白人支配層によるアパルトヘイト(人種隔離)の撤廃を訴え続け、94年に大統領となるマンデラ氏が来日したのは1990年10月下旬。「国家転覆罪」による獄中生活から同年、28年ぶりに釈放され、世界の注目を浴びていた。

 小沢氏が不満だったのは、マンデラ氏が属する黒人解放を掲げる政党に対し、日本政府が資金を援助できないとした点だった。

 公開された記録によると、マンデラ氏は10月29日の海部俊樹首相との会談で「アジア歴訪でインド、インドネシアから(支援を)得た」と述べ、「全世界で最も繁栄している国」日本にも求めた。海部氏に「我が国では外国の特定の政治団体への助成は困難」と断られると、「手ぶらで帰るのは残念だ」と語った。

 外務省アフリカ2課作成の「秘 無期限」の記録によると、小沢氏は31日に内田富夫・中近東アフリカ局参事官(後のスウェーデン大使)に電話。「人を招待しておいて失望させるのはおかしい。資金要請があると事前にわからなかったのか」と述べた。

 内田氏が「わかっていたがこれほどとは予想していなかった。直接的な支援は困難だが、何らかの方法を検討したい」と答えると、小沢氏は「そんなことはどうでもよい。マンデラは明日、離日する。大蔵(現・財務省)と話したのか」と詰めた。

 内田氏は「明日までにどうこうする考えはない。いずれ南ア黒人支援問題にはふんどしを締めて取りかかるので、よろしく支援をお願いしたい」と切り返して電話は終わった、とある。

 小沢氏はこの電話について今月、朝日新聞の取材に「覚えている。人種差別は絶対に許されない。人種差別と命をかけて闘っていたマンデラ氏を尊敬しており、応援するため日本として何かできることはないかと思った」と述べた。(編集委員・藤田直央