第5回幻の「アジア・太平洋集団安保構想」 湾岸危機のさなか、謎多き文書

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編集委員・藤田直央
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 国際社会が冷戦終結から湾岸危機への激動のさなかにあった1990年の秋、外務省北米局で、アジア・太平洋地域での集団安全保障体制構想を日米で打ち出すという提言がまとめられていたことがわかった。冷戦後の在日米軍の存在意義を探る中でのアイデアだったが、91年1月の湾岸戦争開始に至る緊迫の中で立ち消えになったようだ。

 提言を記した「明年にかけての日米関係の運営について 平成2年10月8日 北米局」という3枚の文書が、22日に公開された外交文書に含まれていた。

【特集】外交文書は語る

 30年が経過した外交文書は原則公開対象になります。外務省は、特に国民の関心が高い記録については、外部有識者が参加する公開推進委員会で審査し、毎年末、一括して公開しています。朝日新聞の専門記者らが、これらの文書を徹底して読み込み、取材や分析を加え、日本外交史の真相に迫ります。

 この文書で北米局は、米ソが対立した冷戦の終結で欧州を中心に駐留米軍削減が進めば、国民から「なぜ日本がHNS(在日米軍駐留経費負担)増額を求められるのか」「そもそも(米軍駐留を認める)日米安保(体制)が必要なのか」という疑問が出かねないと指摘。

 また、イラクがクウェートに…

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    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2021年12月23日11時59分 投稿
    【視点】

     政治マターにかかわる北米局の紙で北米1課長が噛んでいないものはないだろうから、岡本行夫氏の関与はほぼ確定的。冷戦終結直後の日本は経済的な勝者で、世界関与から自国中心に軸足を移す米国からの視線は厳しかった。その文脈のもと、アジア太平洋地域に