廊下にテープ、つかんだ1歩の距離感 1年生は憧れの舞台で震えた

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佐藤瑞季
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 5メートルを8歩、つまり1歩62.5センチ。マーチングでは、動きを合わせるため、この歩幅を身にしみ込ませる。愛知県木曽川高校吹奏楽部は11月21日に大阪城ホールであった全日本マーチングコンテストに出場した。全国大会の常連だが、高校で楽器を変更した部員や吹奏楽初心者の1年生も舞台に立つ。

 動きを間違えなかった安心感と、練習の成果を出せた達成感。だが、1年前の秋、丹羽さくらさん(2年)は同時に悔しさも感じていた。

 「全ては演奏できなかった」

 卒業生の母親に連れられて、子どもの頃からよく定期演奏会を聴きにきていた。

 「いつか私もここの吹奏楽部に入るんだ」

 物心ついた時にはそう決めていた。小学校では金管バンド、中学校では吹奏楽部に入り、パーカッションを担当した。

 入部後、人数の兼ね合いもあり、担当楽器はトロンボーンに決まった。吹奏楽経験者だが、楽器を変更した「楽器初心者」という立場になった。戸惑ったが、始めてみると、案外楽しかった。

 木曽川高校吹奏楽部には、学年ごとにマーチングの目標がある。

 1年生は「演技を完璧に」

 2年生は「演奏を完璧に」

 3年生は「演奏演技に表現をつける」

 マーチング初挑戦の自分の目標は、「動きをマスターする」ことだった。昨年6月ごろ、全国大会の常連校も参加する「マーチングバンドフェスティバル2020」へ出ることが決まった。コロナ禍で、発表や大会はほとんどが中止となった。高校に入って初の大舞台だった。

 練習が進むにつれて、「本番、そこは吹かないで」と言われる部分が増えていった。

 曲の難しい部分で、上級生と同じレベルで演奏することはできなかった。結局、本番で演奏が許されたのは、全体の2~3割ほどだった。

 当日はミスなく終えられ、満…

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