第9回「日本は世界平和に貢献していく」旧敵国条項の削除、米へ異例の打診

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編集委員・藤田直央
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 日本、ドイツなど第2次大戦で敗れた「旧敵国」に関する国連憲章の条項について、冷戦終結間もない1990年、日本が米国に対し、大統領から提起するよう打診していたことがわかった。22日公開の外交文書に異例のやり取りが記されていた。旧敵国条項は日本の国連加盟から65年を経た今も残っている。

 この提案は、90年2月27日付で中山太郎外相から村田良平駐米大使への指示を伝えた「極秘 無期限」「大至急」の公電にあった。起案者の「岡本」は、当時の岡本行夫外務省北米1課長とみられる。

 国連憲章の旧敵国条項には、旧敵国の「侵略政策の再現」に備える地域的な国際機構の強制行動については安全保障理事会の許可を不要とする53条や、旧敵国が第2次大戦の結果として受け入れたことは国連憲章に優先するとする107条などがある。

【特集】外交文書は語る

30年が経過した外交文書は原則公開対象になります。外務省は、特に国民の関心が高い記録については、外部有識者が参加する公開推進委員会で審査し、毎年末、一括して公開しています。朝日新聞の専門記者らが、これらの文書を徹底して読み込み、取材や分析を加え、日本外交史の真相に迫ります。

 外相発の公電はまず、89年末の冷戦終結で東西ドイツ統一が見通せるようになり、東ドイツの中で陸の孤島となった西ベルリンを米国などが守るため53条に頼る必要が減って「米国に態度変更を促しやすい状況が出てきているのかもしれない」と指摘した。

 また、米国に次ぐ経済大国だ…

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2021年12月26日20時51分 投稿

    【解説】記事にあるように、北方四島の占領は旧敵国条項の国連憲章107条で正当化されるという主張を、ロシアは近年繰り返しています。ところが興味深いことに、日本が米国に旧敵国条項削除を働きかけた翌年の1991年4月、ソ連のゴルバチョフ氏が訪日したときの