祖父・坂田藤十郎の残した「言葉にできない何か」 中村壱太郎が寄稿

有料会員記事

[PR]

 京都・南座の歌舞伎公演「吉例顔見世(かおみせ)興行」に出演中の中村壱太郎(かずたろう)が、昨年亡くなった祖父で人間国宝坂田藤十郎への思いを寄稿した。題して「祖父が残してくれた『言葉にはできない何か』」――。

「祖父が残してくれた『言葉にはできない何か』」

 昨年、令和2年11月12日、四世・坂田藤十郎は永眠しました。

 歌舞伎座の舞台を終えすぐに駆けつけましたが、「役者は親の死に目に会えない」と言われるが通り、祖父の死に目に立ち会うことはできませんでした。

 本当に気高く、まさにそこに上方歌舞伎の長として死してもなお鎮座しているような最期の表情は、今でも脳裏に焼きついております。

 当たり前のことですが、祖父は私にとって「おじいちゃん」です。でもこの「おじいちゃん」はやはり普段から何か只者(ただもの)ではなく、それを幼くしてすでに悟ってか、物心ついた時には祖父に対して常に敬語でいる私がいました。それは意識的に発せられる敬語ではなく、自然と私の口から放たれるのです。

 四世・坂田藤十郎はとても優…

この記事は有料会員記事です。残り675文字有料会員になると続きをお読みいただけます。