JリーガーよりもYouTuber? サッカー選手の価値を考える

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照屋健
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 「Jリーガーたちが続々とメーカーからのスパイク提供を打ち切られる中、サッカー系のYouTuberたちがスパイクの提供を受け始めている」

 10月。FC琉球の元社長、三上昴さん(34)がツイッターでつぶやくと、大きな反響があった。

 日本代表経験のないJ2、J3の若手選手がメーカーから契約を打ち切られ、自前で用具を購入する。一方で、ドリブルの技術や楽しさを伝える動画を配信している知り合いの沖縄のユーチューバーは、大手メーカーからスパイクの提供を受けているという。

 知名度や広告効果を狙っての判断なのかもしれない。ただ、三上さんは思う。「サッカーの技術はJリーガーの方がはるかに上なはず。サッカーの楽しさを伝えたい、と訴えるユーチューバーに対して、プロとして、何を表現したいのかが見えにくいのでは」

 そして、投げかける。

 なんのためにサッカー選手になったのか。自分の存在価値は何なのか。

 そんな疑問を「強化」の一部として採り入れ、実践しているのがJ2水戸ホーリーホックだ。三上さんが水戸の西村卓朗GM(44)に話を聞きにいくというので、記者も一緒に行った。

 「大事な問いですよね」

 西村GMはそう言うと、Jリーグの村井満チェアマンが新人研修で語った言葉を教えてくれた。2月1日、新たにJリーガーになった選手たちに、こう語りかけたそうだ。

 「あなたたちは個人事業主で、1人の経営者です。経営者として、世の中に提供したいものは何ですか?」

 Jリーガーのうち、5年後もプレーできるのはほんの一握り。どのように競争社会を生き残るか。そんな意図も込められたメッセージだが、西村GMはこう受け取っている。

 「プレーで価値を示すのは大前提。ただ、それに加えて、社会や他者に対する価値を示さなければ、選手としても生き残っていけないのではないか」

 三上さんも同じ思いだ。

 「これまで、ワールドカップ(W杯)に出たことがない時代の選手たちは未知の世界を切り開いてきた。みんな、そのストーリーに共感したり感動したりしてきたんですよね。でも、これからは単に日本サッカーに貢献したいではなく、どう貢献するのかを突き詰めないといけないのでは」

 水戸は2018年から「Make Value Project」と名付け、選手向けの研修や面談を行っている。スポンサー企業の経営者を招いて企業の経営について学んだり、金融関係者から資産について話を聞いたり。選手は西村GMやキャリアコーチと呼ばれる人々と定期的に面談し、プレーの話ではなく、自らの目標設定や人生設計について語り合う。

 なんのためにサッカーをするのか。そう尋ねると、たいていの選手は「試合に勝つため」「日本代表になる」「W杯に出る」と答えるという。西村GMが説明を続ける。

 「それで済むのかもしれない…

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