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「正直もらいすぎかも」赤字続きの公立病院、空床補償で大幅黒字に 

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枝松佑樹、後藤一也、石塚広志
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 新型コロナウイルス感染症の入院患者のために、ベッドを空けて準備する医療機関に支払われる「空床補償」は、コロナ下の病院経営を支える目的で始まった。だが、治療が必要な患者すら入院できない事態も起きた。新たな変異ウイルスのオミクロン株による「第6波」も懸念される中、巨額の税金の費用対効果について、検証の必要性が指摘されている。

 「こんなに黒字になってよかったのか。疑問は残ります」

 関東のある県立病院の経理担当者はこう打ち明ける。2019年度までの数年間は約7億円の赤字が続いたが、20年度は9億円の黒字に転じた。昨年4~6月は、県の要請で約260床のほぼすべてをコロナ患者受け入れのために空け、最大18人のコロナ患者を受け入れた。一般診療を再開した後も、コロナ病床を34床確保するために一般病床70床を休床するなどした結果、約30億円の「空床補償」が国から支払われたからだ。

 コロナ患者を診るには、通常より看護師を多く配置する必要がある。一般病棟から看護師を集めるために一般病床の一部を閉鎖するケースが多く、そこから得られるはずだった収益を埋める形で、国は空床補償の制度をつくった。

 コロナの重点医療機関で特定機能病院であれば、1床につき1日あたり重症患者用の集中治療室(ICU)は43万6千円、主に重症・中等症患者用の高度治療室(HCU)は21万1千円、一般病床は7万4千円が空床補償として支払われる。コロナ患者が入院すればその病床は空床補償から外れ、代わりに診療報酬が支払われる。

 慢性的に数億円程度の赤字続きだった東京都立の各病院も、20年度は軒並み黒字化した。

 ある都立病院は「第3波」の…

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    磯野真穂
    (人類学者=文化人類学・医療人類学)
    2021年12月17日9時25分 投稿
    【視点】

    幽霊病床の問題については、気の緩み、夜の街、若者、飲食店、五輪、飲酒といったように、感染拡大の要因を時勢に応じて次々と探し出し、そのせいで医療崩壊が起こる、といった、わかりやすい物語を流し続けたメディアにも相当な問題があると思います。