通帳残高20円の月も 生活保護訴訟、困窮する原告「命ある限り」

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岩本修弥、小野大輔
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 国の生活保護基準額引き下げをめぐる訴訟で神戸地裁は16日、原告の訴えを棄却した。法廷で日々の暮らしの困窮ぶりを訴えてきた原告らは落胆し、憤った。「最後の最後まで闘うぞ」と控訴する方針を示した。

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 「非常に残念な判決。でも、命のある限り闘っていきたい」。神戸市北区の団地の一室で一人暮らしをしている原告団長、北風正二さん(83)は判決後の会見で静かに述べた。

 大阪府で生まれ、就職のために神戸に移り住んだ。水道工事の会社に勤め、30歳を過ぎてから独立。必死に働いてきたが、70歳で腹膜炎を発症。長年の疲労がたたり、腸が破裂したという。医師は「もう2、3日手術が遅かったら死んどったぞ」。仕事をもらっていた社長は「お前はもうこれまでやな」と告げた。

 生活保護を受け始めてからは、引き下げが何度かあり、年間約1万5千円ほど受給額が下がった。働いていたころに国民年金保険料を払う余裕はなかったといい、今は約11万円の生活保護費で生活している。

 昭和の高度経済成長期から暮らす団地は、老朽化が進む。何十カ所も破れたふすまは30年以上そのまま。テレビも20年近く買い替えができず、ブラウン管のままだ。3食同じものを食べる日が多く、切り詰めた生活をしても通帳の残高が20円しか残らない月もある。

 唯一の趣味だった釣りは、生活保護を受給し始めてからは一度も行っていない。「えさ代や交通費もかかるし……。何となく、世間の目も気になるしね」。手入れをしていた釣りざおは、全て手放した。

 北風さんら原告はこうした窮状を法廷で訴えてきた。だが、判決で触れられることはなかった。

「月に1日、食えない日が」

 原告の一人、尼崎市の男性(72)は判決後、取材に「不当な判決。裁判所は私たちの厳しい生活を理解しようとしてくれなかった」と怒りをにじませた。

 受給を始めたのは、働き盛り…

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